自惚れ男子の取説書【完】

「そもそも…なんで先生がここにいるんです?え?」

「んー?だって横田ちゃん言ったでしょ、”女の園に来るっていうんですか。そんな覚悟あるならどうぞ”って」

「それは暗に、女子会なんだから来るなって意味です!」

皮肉をバカ正直に受けられ、返り討ちにあった美沙は苛立ちをフォークに向ける。ふわふわフレンチトーストも、美沙の怒りを抑えるには物足りないないみたいだ。一方の名波先生は、眉間にしわを寄せる美沙を幸せそうに眺めている。

「先生、こっち見ないでくれます?」

「え?いいじゃん。俺コーヒーだけだし、見るだけでも楽しませてよ」

「じゃあ見てないで自分のも頼めば良いでしょ!」

「あぁ、違う違う。横田ちゃん見て楽しんでるんだってば」

名波先生のストレートな口説き文句に、その辺の女性はときめいちゃうはずなんだけど。いかんせん、美沙は眉間の皺を更に深めるし、私はそれを半ば呆れながら見てるだけだ。
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