自惚れ男子の取説書【完】

「自惚れんなよ。俺が…お前を助ける訳ないだろ」

まるで釘をさすように低く呟くと、両肩をぐっと壁に押し付けられる。痛みで思わず顔をしかめると同時に、唇を塞がれ反射的に呼吸を止めた。


「んっ……!!っあ……やっ!」

乱暴に唇を吸われ、抵抗するよう首を振り歯を食い縛る。それを封じるように小田さんの手が私の顔を押さえ、抗議の声の隙をついて中を全て掻き乱された。あまりの激しさに呼吸を忘れ、滲んで
いただけの涙は呆気なく零れ落ちた。

まるで貪るような野生的なキス。そこには何の愛情も感じられず、ただただ全てを飲み込まれるようにその唇を受け止めるしかなかった。

僅かに動く両手で小田さんの身体を押しやるけど、そう簡単に離れてくれる訳もなく。無我夢中でその胸板を叩き続け、最後に深く舌を吸われるとようやく小田さんは身体を離した。

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