自惚れ男子の取説書【完】


「もう!だから一緒行こうって言ったのにっ」

「ほんとごめんっ!来た事あるからわかると思ったんだもん」

美沙のお冠は当然。「始まる10分前には集まろう!」と言われつつ、私が着いたのは開始予定時間から10分が経っていた。


「まぁまぁ。でも意外、琴美ちゃん方向音痴なんだね」

「りっちゃん久しぶり!ほんとごめんね!!」


優しく声をかけてくれたりっちゃん。その数を減らし続けている、希少な同期の1人だ。
新人研修で同じグループだったりっちゃん。ふんわりとしたこのオーラにどれだけ救われたことか。


「律子、琴美はねぇ仕事はできる女だけどプライベートはぬけぬけだからね」

ビシっ!と良い放つ美沙。遅れた身としては平身低頭、何の口答えもできない。

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