自惚れ男子の取説書【完】
「辻さん、記録どう?」
「あ、準夜帯はあと1人で終わりなんで大丈夫そうです」
夜勤帯の看護師は3人。日勤帯から準夜帯にかけての勝負時は遅番がフォローしてくれるけど、この人数の患者さんを3人で分けるのは正直しんどい。
消灯までの数時間、検温に内服確認・点滴更新・トイレの介助…とやる事は山積み。それでも時間は待ってくれないし、どれだけ上手く仕事を組み立てるかが勝負なのだ。
そんな夜勤でもこうして記録する余裕があるのも、全てはこの樋口さんのおかげ。私と後輩の加藤さんがギリギリの所で仕事をこなす所、いつの間にか配膳や物品チェックなどの夜勤業務を終わらせてしまうのだ。
「樋口さんすみません、物品チェックありがとうございました」
「いいえー。ほんとは加藤さん教えながらやろうと思ったけど、オペ後いるでしょ?また今度にしよ」