自惚れ男子の取説書【完】


合コンは思いの外楽チンだった。

りっちゃんの同級生という石川くん、職場の先輩という馬場さん。2人共営業職ということもあって、とにかく話が面白くって全然疲れなかった。


そう、2人しか居なかったのだ。


「ごめんね、先輩仕事が長引いてるみたいでさ」

「ううん、仕事が終わらないのってよくわかるし。気にしないで」

申し訳なさそうに手を合わせる石川くんは、ちらりと私の正面の空席に目をやった。
看護師という職業柄、急変急患でドタキャンなんてよくある話。仕事での遅刻なら仕方ない。


「美沙ちゃんも可愛いけど、うちの同期もかなりイケメンだからね。期待しといて」

「あ、そうなんですかー?ははっ、楽しみー」

馬場さんのお褒めの言葉も美沙には響かない。それどころか「チャラ男は却下」の美沙には逆効果かと。

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