自惚れ男子の取説書【完】
「長い付き合いだったんですけど…ようやく、ね。まぁこれで母も肩の荷が1つおりるでしょ」
ふふ、と苦笑する美月さんはチラリ由美さんへと視線を送ると二人は可笑しそうに目配せした。
「ねぇ、辻さん?」
美月さんは一際優しい顔で私を見つめた。
「大和に…会ってあげてください」
「……えっ…?」
思っていたのと真逆の言葉に、思わず目を見張る。
絶対に”もう会わないで”…って言われるんだと思ったのに。
小田さんを試す気?それとも絶対的な自信からなの?
美月さんの真意をはかりかねて、戸惑いの色を隠せない。
「辻さんにも事情があるのは分かります。でも、このままじゃちゃんと前に進めないから…」