自惚れ男子の取説書【完】

美月さんのセリフは的外れだ。


先に避けたのは私。でも…今となっては、拒絶しているのは小田さんの方なのだ。
私の気持ちの整理が出来たところで、美月さんの言うように小田さんに会うのは難しいだろう。彼がそれを許さないはず。



『安心しろ、もう…二度と会う事も無い』

あの言葉がフラッシュバックし、ぐらりと目眩を引き起こす。

それに…なんで私にそんな事を言えてしまうの?

美月さんが見せた小田さんのへの『絶対的信頼』。一瞬でも彼の隣にいたいと思っていた、何も知らなかった自分が恥ずかしい。


できっこない…よ。

目の前が真っ黒に塗りつぶされていく感覚。

これが”血の気が引く”っていう事なのか。全身の熱という熱が、急速に引いていくのを感じる。
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