自惚れ男子の取説書【完】
ここ最近ようやく迷わず使えるようになったこの道は、少し駅から離れショップが並ぶ通りへと抜ける。
道に迷っても大変だから、ぐっと堪えて大抵通り沿いのお店しか覗かない。それでも可愛い雑貨屋やおしゃれな服屋が沢山あって、今まで気づかなかったのが勿体ないくらい。
本能が赴くまま、ぴかぴかのウィンドウへとなんとなく近付いてみる。
少しレトロな雰囲気の靴屋。もしかするとかなり昔からあるお店なのかもしれない。
ショーウィンドウに飾られているのは、ソフトレザーのレースアップシューズ。少し先細で全体も細身の作りがカッコいい。フラットだから楽チンだろうし。
うーん…気になる。
とは言え美沙を待たせるのは危険だ。後で出直す事に決め、後ろ髪を引かれる思いで先を急いだ。