自惚れ男子の取説書【完】

まさか…名波先生、とか?

勝手な妄想に思わずにやついちゃって、美沙には訝しげに見られるし。
言ったら余計怒るだろうな…絶対言えないわ。


「遅れてごめんねっ!」

シフォンスカートを揺らし駆け寄ってきたのは意外な人物だった。


「うわぁ!りっちゃんだったんだ、久しぶり!」

「ほんと久しぶり。二人とも待たせてごめんね、電車遅れちゃって」

すまなそうに手を合わせるりっちゃんは急いで走ってきてくれたんだろう。少し乱れた髪を焦って抑える姿も、何ともいじらしくてぎゅっとしたくなる可愛らしさだ。
額に滲む汗を拭うハンカチにはシワ1つなくって…
さすがりっちゃん、『女子力の塊』と噂されるだけはある。
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