自惚れ男子の取説書【完】

お目当ての限定ランチにありつくと、美沙はすっかりご機嫌。美沙と便乗した私ががっつりステーキに夢中になる一方、りっちゃんは可愛らしくパニーニを両手で頬張っている。

「お肉柔らかぁ~い」

「パニーニも美味しいよ」

えびとアボカドの間違いない組み合わせに、りっちゃんも満足そうだ。


肉厚のステーキをペロリとたいらげデザートに差し掛かる頃。両手でカップを包むように持つりっちゃんは、紅茶を口にほっと一息ついた。

そんな穏やかで可愛らしい様子に釣られて私も顔が緩む…と。


「…ん?……ん!あっ!!」


ようやく見逃せない変化に気付いたのは、その時だった。




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