自惚れ男子の取説書【完】
そうして会話と食事を楽しんで30分。
「悪いっ!石川、馬場遅くなった…って…」
半個室の暖簾をかき分け、待ち人は現れた。
「先輩、遅いっすよー!打ち合わせ随分長引いたんですね」
「おい…聞いてないぞ」
「合コンだって言ったら”めんどくさい”とか言うだろ?たまには付き合え」
そう言いくるめられしぶしぶコートを脱ぐ男は、前評判の通りのイケメン。少し長い前髪をサイドに流し、センスの良いスーツを着こなしデキル男って感じで。
「あー…もう。遅くなってすみません。小田大和(おだ やまと)です、よろしく」
MAX破壊力を持つ営業スマイルで挨拶したのは、他でもない。あの”自惚れ男”、その人だった。