自惚れ男子の取説書【完】
「そういえば二人はどうなの?あ、美沙は名波先生とだ「あーーっ!!」」
りっちゃんの声を完全に遮るように、わざとらしく野太い声を出した美沙。
「無い、マジで無いから!やめてよ律子まで」
「え、そうなの?ふーん…こないだ仲良く帰ってたじゃない?」
「えっ…!!なにそれ!えっ!聞いてない私!」
「違っ!それはたまたまっていうか、勝手にあいつが…あーこっち見ないの、琴美!」
思わぬ展開に私は自然と声が大きくなるし、必死の抵抗を見せる美沙との応酬はヒートアップしていく。
「ほんと勝手に向こうがついてきただけだから!本当に。言っとくけど隠してた訳じゃないわよ?あんたそんな余裕なかったでしょうが」
「うっ……そ、それは…スミマセン」
グサリとくる一言で、一気に私だけクールダウンしていく。確かに美沙とゆっくり話す余裕すらなかったもんな、私。