自惚れ男子の取説書【完】
「合コンって聞いてなかったんですか?」
「うん。仕事忙しくって、いつも断ってるからかな」
軽くネクタイを緩めると、愛想よくふふっと笑って答えた。
「じゃ、琴美と一緒だ。琴美も乗り気じゃなかったの引っ張ってきたから」
んね!と美沙に肘で小突かれ、はっ…とようやく頷く。
「そうなんだ?慣れない者同士よろしくね。名前、聞いて良い?」
どうにかバレないよう俯いていたものの、逃げられず。
「辻…琴美、です」
万事休す。