自惚れ男子の取説書【完】
「琴美ちゃん、ね。よろしく」
…はて。
「飲み物なんか頼む?」
はいはい、と手際よく注文する彼の様子は完璧に”初めまして”。
「みなさん同じ営業なんですか?」
「そうだよ。大和さんが第1営業課で、俺と馬場さんが第2。よく飲み連れてってもらうんだ」
安心したような。腑に落ちないような。
やいのやいのと盛り上がる雰囲気にあわせるよう、ぐちゃぐちゃになった思考をグラスを傾け流しこんだ。