自惚れ男子の取説書【完】



「琴美ちゃん、ね。よろしく」



…はて。


「飲み物なんか頼む?」

はいはい、と手際よく注文する彼の様子は完璧に”初めまして”。


「みなさん同じ営業なんですか?」

「そうだよ。大和さんが第1営業課で、俺と馬場さんが第2。よく飲み連れてってもらうんだ」


安心したような。腑に落ちないような。

やいのやいのと盛り上がる雰囲気にあわせるよう、ぐちゃぐちゃになった思考をグラスを傾け流しこんだ。





< 29 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop