自惚れ男子の取説書【完】
「あった!ここ!」
嬉しさから小走りで駆け寄る私をよそに、美沙はぐったりと疲れの色一色だ。
「ほんとにここね?ったく…なんでここ来るのにあんな所で曲がったのよ!もう!」
「ごめん。だってコンビニのそばだったなぁ…って」
「全然違うコンビニじゃないのー …もういい、琴美に任せた私が悪い。入ろ入ろ」
苦笑いの私を責める気ももはや失せたようで、1人さっさと店内へ入ってしまう。
ちらりとウィンドウへ目を向けると、さっきと同じレースアップが飾られている。
やっぱり可愛いな…この靴。
このお店、当たりかも。そんな予感に少し気分があがると、足取りも軽く美沙の背中を追った。