自惚れ男子の取説書【完】
あぁ…お腹すいた。
すんすん、と鼻をきかせるとバターとベーコンの焼ける香りがする。コポコポ…と聞こえるのはコーヒーメーカーの音かな。
理想的な優雅な朝って感じだぁ。
でも起きたくない…せっかくのふかふか布団。
すりすりと布団に頬擦りすると、ふふっと口角があがる。
ん…?
ふかふか?ベーコン?コーヒー?
ようやく違和感に気付きガバッと布団を剥ぐと、慌てて周囲を確認する。そこはモノトーンで統一されたシンプルな家具が並ぶ、広いリビング。殺風景な感じからしても、男性の部屋?…多分。
全く記憶にない風景にしばし呆然としていると、
「あ、起きたか」
リビングの向こう、カウンターキッチンからちらりと男性が顔を出していた。
それだけ言うとすぐに引っ込み、ジュウっとフライパンをふる音が続いた。