自惚れ男子の取説書【完】
「それで?他に何か聞きたいことねぇのかよ?」
「へっ?」
「聞きたいことも聞かずに勝手に勘違いして逃げて。それがバカにしてるっての。お前が納得できるように俺が話せないとでも思ってるわけ?聞きたいことあるなら、ちゃんと俺に聞けよ」
偉そうな言葉だけど、その裏にある優しい響きは十分に私に届いていた。
胸の奥からじんわりと広がる愛しさ。身体は隅々まで熱をあげていく。
贅沢かもしれない。でも
「小田さん……1つ聞いてもいいですか?」
「ん?」
「私のこと……す、きですか?」
言葉にすると途端に恥ずかしさは募るもので。顔だけが異常に熱い。
小田さんの口から聞きたい。
「……どう思う?」
一瞬の静寂の後、返ってきた言葉は期待したものとは違った。