自惚れ男子の取説書【完】
「やっぱりいいですねぇ、結婚って」
ぼそっと呟いてしまった瞬間、”しまった”…と頭が反応していた。
彼氏に結婚ちらつかせてどうする。しかも付き合い始めたばかりなのに。
そんなつもりじゃない。単純にウェディングドレスに誰でもときめくじゃない、そんな程度で。
そもそも小田さんの家にいる事だってそわそわしてしまうのに、そんなの想像できっこない。
いや、小田さんとの結婚が嫌って訳じゃなくて…
1人でうだうだと言い訳の応酬を脳内で繰り広げる。
「まぁ…失敗すると悲惨だけどな」
おそらく自分の両親の事だ。辛い現実をきっと目の当たりにしてきたんだろう。
わかってる……わかってるけど。