自惚れ男子の取説書【完】
前科がある分何とも反論できず。
やっぱり”深い意味は無い”が正しいみたい。
そりゃ小田さんと付き合い始めて日も浅いし…ね。
勝手な葛藤を落ち着かせつつ、唇は無意識にとんがっていたようで。
むにっ
尖らせていた唇をくいっと摘まむと、面白いものを見るようにニヤニヤと楽しそうな小田さんの顔。
「素直じゃねぇくせに何だその露骨な拗ね方は」
んんーっ!と声にならず唸って抵抗するも、小田さんを喜ばすだけ。ようやく離してくれた時には唇がジンと痺れてしまっていた。
「拗ねてませんってば!誰も小田さんと結婚したいなんて言ってないでしょうが!んもう…」