自惚れ男子の取説書【完】
ため息の後すっと息を吸うと、小田さんはそらした視線を絡ませてきた。
『面倒だ』と冷たい言葉とは裏腹に、その視線は柔らかい。
「まぁ…お前なら……な。いいかと思ったんだけど」
そう小さく呟くと再び顔を近づかせる。
「えっ……な」
「もう黙れよ」
遮られた言葉も、小田さんの少し潤んだ瞳に吸い込まれていく。
言いたい事はたくさんあるけど…今はすべて委ねてしまいたい。
偉そうな言葉とは裏腹、甘い顔で優しくそっと私の髪を撫でる。
自然とひかれるように、今度は私からそっと唇を寄せた。
*END*