自惚れ男子の取説書【完】
「どうって、何が?」
「決まってるでしょ、イケメンのエスコートはどうだったかって事」
エスコート…って。あれは完全に、脅しに屈して家を案内しただけ。
そもそも寝坊したのも、朝ご飯を食べ損なったのも全部あの男のせいだ!
昨日の夜はほとんど眠れなかった。
ありえない偶然を呪いつつ、何より、どこまでも失礼な男の態度に煮えくりかえって、ひたすら枕に拳をぶつけた。
思い出してイライラするのと激しい空腹で、箸のスピードを更にあげる。
「なにー?うまくいかなかったわけ?」
「うまくいくもなにも…っていうか美沙、勝手に小田さんに送るよう頼んだでしょ?」