自惚れ男子の取説書【完】
あぁそんなこと、とまるで堪えない軽い返事が返ってくる。
「だって小田さん、ずーっと琴美の事見てるんだもん」
昨日を振り返るよう、美沙は視線を天井へ向けた。
「周りに気付かれないようにだけど、ずっとちらちら見てたのよ。小田さんイケメンだし気が利くし、琴美を任せてもいっかなーってお膳立てしてあげたわけ」
そりゃ見るよね。つい昨日、”危ない勘違い女”だと認識したやつがいるんだから。
「それ…そういうんじゃないから」
「なにが?」
「と、とにかく!違うから期待しないで!」
納得できない美沙が何か言いかけたけど、無視無視。追撃から逃げるよう、私はさっさとご飯をかきこんだ。