自惚れ男子の取説書【完】
えっ……?
いやいやちょっと!!!!
ちらり顔を覗かせたのは男だった。それも知らない男。慌ててキッチンへ消えた男の背中を追った。
「あっ…あの、すみません!」
とりあえず寝起きの頭を撫で付けると男に声をかけた。
こちらには目もくれず、男はフライパンに集中していた。
「えぇ…と、あの。どこでしょう、ここ?」
「俺んち」
「…はぁ」
そらそうでしょ。
お行儀悪く足で棚を閉めると、男は素早くカップを用意する。人様の家でそんな手慣れた手つきでご飯作るなんてないでしょうよ。
私を気にもとめない男の態度に少しムカつきつつも、この人に聞かない訳にはいかない。