自惚れ男子の取説書【完】
そんなずぼらな考えに罰が当たったか。
ガチャっと開くはずのない面会人用のドアが開くと、男性の革靴がちらりと見えた。
すらりとしたシルエット、180cmは余裕であるんじゃなかろうか。細身のスーツを着こなす姿はどこからどう見てもできる男。歩く様さえどこか品があって、女の私が見てもどこか色気がある。
と、スーツの人が街灯の下にさしかかった所で、私は慌てて反対方向へと急いだ。
絶対会ってはいけない。