自惚れ男子の取説書【完】


「こないだ病院言ってたろ?それ位覚えてる」

あの日、とっさに嘘をつくことも出来ず正直に話しておいた自分を誉めてあげたい。
うんうんと黙って逡巡する私を一瞥すると、小田さんは自然の流れで肩を並べた。


「お帰り…ですか?」

「そうだけど?大体、何でお前逃げてんだよ」

「それはっ!小田さんが私の事、勘違いする危ない女だって警戒してたからでしょ!」

「あぁ?そら自業自得だろうが、俺のせいにしてんじゃねぇ。疚しいこと無いなら逃げる必要ないだろ?大体なぁ、人の顔見て逃げるとか失礼すぎるだろ」


ごもっともな指摘にぐうの音も出ず。


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