自惚れ男子の取説書【完】



「俺の顔見て逃げるなんて、お前ぐらいだぞ」


出た。お得意の自惚れ発言。

そら私だって目の保養に見るならありがたい。
だけど中身が単なる自惚れ野郎だとわかっている以上、最初っから小田さんは私の癒しにはなれっこないのだ。


無言の笑いでその場を誤魔化そうとしていた時、



「あら…もしかして辻、さん?」


恐る恐るこちらを伺う小さな人影があった。

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