自惚れ男子の取説書【完】
「あぁ、やっぱり。今までお仕事?大変ねぇ」
「佐藤さん、お久しぶりです」
何故か善次郎さんの奥さんが、夜の病院から出てきた所だった。
「主人の忘れ物、ずっと取りに気そびれててね。なかなか気も進まなくって…」
それもそうだ。病院には正直ツラい思い出が多いはず、足がすすまないのも無理はない。
「勢いできたらこんな時間でしょ?夜勤の方に申し訳なかったわ」
「いえ…そんな。おつらい時にわざわざすみません」