自惚れ男子の取説書【完】
「辻さん、明日ね…納骨なの。娘と一緒に弔ってくるわ」
照れたような笑顔が少し強ばると、今度は少し寂しそうな笑顔で教えてくれた。
娘さんの存在に安心して、私は何でか泣きそうだった。
「善次郎さんに…よろしくお伝えください」
涙を堪えてようやく伝えると、それ以上は何も言えなかった。
奥さんはきっと泣きそうな私に気付いてくれたんだと思う。黙ってしっかりと頭をさげると、背を向け去っていった。