自惚れ男子の取説書【完】
ポンっと暖かい手のひらが頭に乗ると、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
慰めてくれてるのかな。
その雑な扱いにちょっと腹が立った気がしたけど、涙を堪える私にはちょうどいい。何だか落ち着く温もりだった。
「なぁ…善次郎って」
「私の担当患者さん。この間亡くなったんです」
ずずっと鼻をすすると、泣きそうなのを誤魔化すように背後に立つ小田さんの手をはらう。
「もう、頭ぐちゃぐちゃじゃないですか」
髪を撫で付け文句でも言おうかと振り返ると、こちらをじっと見る小田さんと目があった。