自惚れ男子の取説書【完】
2
「ちょっと顔貸しなさい!」と美沙に捕獲されたのは日勤後。土日は手術や処置が少ないから、その日はほぼ定時であがれた。
いきつけの赤提灯に開店早々に滑りこみ、いつものテーブルにどっしり腰をすえた。
「琴美ちゃん、私に隠してる事あるでしょ?」
乾杯も適当に、美沙は早速切り出してきた。
うん?と可愛い顔を傾けるけど目が全然笑ってない。ヤバい。
「なにが?隠すような事、何も起きてないよ」
「はぁ?ネタはあがってるよの!何なら石川くん召喚したっていいわ」