自惚れ男子の取説書【完】
事の次第をかいつまんで説明すると、心底気の毒そうな目をむけられた。
「小田さん、かわいそう…」
「え?かわいそうなのは、振り回されてる私でしょ」
黙って首を振ると、美沙は不味い物でも食べたような苦い顔をした。
「まぁいいわ。お世話になったなら、今度は本当にコーヒー位出してあげなさいよ」
「そうだね。あ、でも彼女に悪いかな?缶コーヒーでもいいかなぁ」
美沙はそう言って悩む私を、何でか珍獣でも見るみたいに観察すると深いため息と一緒にビールを流し込んだ。