自惚れ男子の取説書【完】
「何やってんの?」
そのキレイな顔立ちからは予想出来ないほど、ドスの聞いた低い声が男達を呼び止めた。
あーん?と突っ掛かると、有りがちに斜め下から睨みつける酔っぱらい。その失礼な態度も、小田さんと目が合うと一瞬で崩れた。
キレイな顔は無表情で感情は読み取れない。ただ蔑むような絶対零度のその視線は、男達をとらえたまま離れない。
人って目で殺せるんだな。
と他人事のようにぼんやり考えている間に
「目障りだ。消えろ」
まるで何かの号令のように、一斉に男達は暗闇へと消えていった。