自惚れ男子の取説書【完】
3
いつもと違う駅、商業施設が立ち並ぶ改札で壁に持たれて時計を見た。
「あと5分…か」
待ち合わせにはかなり余裕を持ってきたから、何だか手持ちぶさたになりつつあった。ぼんやり人混みを観察していると、人混みからぴょこんと頭1つ出ている人影。
あれだ。
とにかく目立つ。
すらりとした身長に整った顔立ち、更にそれを際立たせるのは彼の堂々とした立ち振舞いだと思う。
これだけ離れていてもすぐ分かるし、隣りにいる女子高生達がキャーキャー言ってる。
今日はこれに耐えなきゃいけないのね。
ある種の苦行を強いられるような少し憂鬱な気持ちで、待ち人を迎えた。