自惚れ男子の取説書【完】



「愛想…良いですよね、小田さんって」

「何だ急に。愛想良くなきゃ、営業なんか出来ねぇだろ」


おっしゃる通り。確かに営業の仕事には不可欠な要素だ。でも、私が言いたいのはそういう意味じゃなくて…


「いえ…”私以外には”愛想良いですよね。特に女性相手だと」


言った後 ”しまった”と気付いた時には、小田さんは頬杖をつき面白そうにこちらを見ていた。

「何、お前拗ねてんの?」

くすっと笑う小田さんは、くすぐったい程に甘い顔をしてた。


確かに今の失言、駄々をこねる彼女みたいな…身の程知らずも甚だしい。ひたすら恥ずかしくて顔の熱は上がり続ける。


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