自惚れ男子の取説書【完】
「ちっ、違います!小田さん、自惚れ過ぎ!」
「あぁ?今のは完璧に拗ねてただろ。俺のせいにすんなバカ」
「だって!小田さん、合コンの時とか…今日も、店員の人とかにはすごい優しいじゃないですか」
前々から感じていたもやもや。今日1日で増幅されたそれは、もう吐き出すしかなかった。
映画館のスタッフや、エレベーターに乗り合わせた他人、ここのおばさんにだって小田さんは愛想良く笑顔で対応するのだ。
なのに、なんで。
飲み物をくれる時も、ブランケットを渡してくれる時も、扉を開けてくれる時も、私にそんな笑顔は無い。
スマートな振る舞いの所々に優しさは感じる。だけどそれはあまりにさりげなく、言い方を変えれば素っ気ない。周りとの対応の違いを感じる度、何だか…寂しい。