自惚れ男子の取説書【完】

そう言うと、乱暴にチコリの山にフォークを突き刺し口に突っ込むと、小田さんはそれを水で流し込んだ。

飲み込んだ後も、眉根を寄せて厳しい顔をしている。


「あらぁ、珍しい！」

そんな小田さんを見て、おばさんは面白い物でも見たようにけらけらと笑った。


小田さんにも苦手なもの、あるんだ。

あまりの慌てように、何だか急に小田さんが可愛く見えて。口角がにんまりと上がるのを誤魔化すように、牛肉の煮込みを頬張った。


「お前、そこ1番うまい所だろ！あり得ねぇ！！」

「ふふん、早い者勝ちですよぉ」

いつの間にか変な空気を払拭して、結果すごく楽しい食事になった。