自惚れ男子の取説書【完】
そこでふと思い出す。
「あ、小田さんおいくらでしたか?まとめて払います」
映画のチケットや飲み物、レストランの代金まで小田さんが全てだしてくれていた。
本来、私がお礼する日なわけで、きちんと返さないと。
「あぁ?めんどくせぇ、いちいち覚えてねぇよ」
「いやでも、今日は小田さんへのお礼なので…」
「女から金せびるような真似、俺のプライドが許さん。次、お前の奢りにすればいいだろ。今度はワインだって言ったろ」
あそこワインの品揃え良くってさぁ…と1人語る小田さんをよそに、展開について行けなくなった私。
んーと…
次…?一緒に、行く?
完全に予想をはるかに越えた展開にフリーズ寸前。もう深く考える事は放棄し、とにかく足を前後に運ぶ。
その後、どうやって帰ったのか正直覚えていない。