自惚れ男子の取説書【完】


美沙の圧力に負けて、ポツリポツリと話し始めた。

「いや、良いなぁ…って思ったんだけど」

「何が」

「一緒にご飯食べる事、かな」

「誰と」

うっ…と言葉に詰まると、美沙が目だけで先を促す。


「うぉ…小田、さん」

「やっぱりー!!」

「やっぱりって何がよ。言っとくけど、美沙が思ってるような良い話じゃないわよ」

「はぁ?それで?別に問題ないでしょ。小田さん、琴美気に入ってたし」


違うんです、違うんですよ美沙さん。

小田さんは”気に入る”んじゃなくて、”気になった”だけで。それもそのはず、最悪の出会いだったんだから。


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