自惚れ男子の取説書【完】

とは言え美沙は逃がしてくれそうにもない。

きっと自分の仕事はあらかた片付いたんだろう。ナースコールを気にしつつも、どしっと私の隣に腰をおろした。


「うーん…と、実は…合コンの前に会ってるの」

「小田さんと、よね?初めましてじゃなかったの?」

「いや、小田さんは私の事忘れてると思って。そのままいこうかと…」

「ますます訳わかんないわ。”覚えてますか?”とか良いきっかけじゃない。私なら絶対言うけど」


ふて腐れた顔でそう言い張る美沙は肉食系だ。
しょっちゅう言い寄られる割に彼氏はいない。自分が好きにならないと、成り立たないタイプだ。モテるくせに、自分が好きになった人にはガツガツ行くんだから尊敬してしまう。

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