自惚れ男子の取説書【完】
「いやぁ…私としては、忘れてくれてても良かったんだけど」
「あんなイケメンで紳士なのに?まぁ仕事には厳しいらしいけど、仕事出来る男って良いじゃない」
「紳士、ねぇ…」
そりゃ気が利くし、スマートな振る舞いは認める。けど、私の前での小田さんは全然紳士なんかじゃない。
どっちかと言えば『絶対的俺様』だ。
考えれば考えるほど、小田さんのどこが良いんだかわからなくなってきた。無意識に深く息をはく。
「なによー、なんか怪しい!前に会ったことあるって、絶対何かあったんでしょ」
「んなっ…何もないわよ!勘繰りすぎ。もう、仕事戻んなよ」
緩まぬ追及に思わず逃げ腰になる。誤魔化すように、美沙の腕をぐいっと押しやった。