自惚れ男子の取説書【完】
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駐車場の隅、草むらに空き缶と簡易イスが転がる一角。案の定、探していた小太りの背中があった。
「まぁーつやまさんっ!!」
「んげっ…辻さん…」
「もうすぐ手術なのに何やってんですか!タバコなんて吸ってたら、術後辛くなるの松山さんなんですからねっ」
あれだけ主治医から禁煙するよう話したものの、ヘビースモーカーの彼にはなかなか難しいようだ。これまでも何度かこうして現場を押さえられている。
「だってさぁ、長年吸っ「だってじゃないですっ!」」
思わずくわっと凄んでみせると、松山さんがたじろぐのが分かった。
「検査もう呼ばれましたよ。早く行かないと」
「お、そりゃまずい」
「終わったら迎えに行きますからねー」