自惚れ男子の取説書【完】
「やだ、私ったら…看護師さんお仕事戻らなきゃですよね。本当にすみませんでした」
ナース服姿の私を見て、仕事中だと思ったのだろう。どうやら私の事を、たまたま居合わせた看護師だと思っているようだ。
バツが悪いのか丁寧にお辞儀すると、美月さんは院内へと戻っていった。
つられて頭を下げ美月さんの背中を見送りながら、私は頭で2人の言葉を反芻していた。
”お前には関係ないだろ”
何様だって思うよね…
近付きたい。そう自覚した直後に突き放されてしまった。自業自得だと思う。それでも美月さんの必死な様子に黙っていられなかった。