自惚れ男子の取説書【完】
申し訳程度の化粧と適当な服で走り込むと、美沙は不機嫌そうに眉を寄せて壁にもたれていた。
「遅い。10分遅刻」
「ごめん。って30分じゃ無理だって。家からここまで20分あるんだよ?おかげで超ダッシュしたもん」
パタパタと胸元を扇ぐと乱れた息を整える。
美沙の一方的な誘いにもかかわらず、なんとなく謝ってしまう。
顔を洗って着替えて化粧して。そこまで20分で出来たんだから、寧ろ誉めて欲しいくらいだ。
「その分じゃやっぱり寝てたのね。目ぇ覚めた?」
「お陰様で。これだけ走れば、ね」