Colorful lovers
第2話・紺色のピーコート
昨日は、フワフワフワフワ。
俺自身も生徒たちもみんな浮き足立っていた。
バレンタインデーという1年にたった1回しかないスペシャルイベントデー。
女子は1年1度のこの日のためにありったけの女子力を結集し、中には有らん限りの勇気をかき集める者もいる。
男子は1年1度のこの日のためにありったけの妄想を全開にして、中には有り得ないほどわずかな希望的観測にすがる者もいる。
俺だって妄想全開、砂粒ほどの希望的観測を握りしめてこの日を迎えた。
予備校講師という立場では、この日を楽しむべきではない。
主任講師の山田先生はそう言ったけど、俺はその言葉に従うわけにいかない。
だって、生徒以上にこの日にかけてたんだから。
今年こそ、手に入れたいのよ、可愛い彼女。
ただし、女生徒は除いてね。
俺は事無かれ主義。
面倒なことは絶対ごめん。