Colorful lovers
「あ、ガリバー先輩!お疲れ様です」
昨日とは対照的に重い足取りと気分で出勤した俺をエントランスで出迎えてくれたのは、昨日までのターゲットガール。
日吉千波。Y大学教育学部の1年生。
通称ぴーこ。このニックネームは俺が付けて俺だけが呼ぶ。
「おう。お疲れさん。
ってか、お前今日はずいぶん早い出勤じゃね?」
「あはは。山田先生に怒られにきました」
ぴーこは茶目っ気たっぷりにペロリと舌を出してみせる。
「あー……。昨日ぶっちぎったもんな」
「早めに来て素直に謝ったのに相当絞られましたよ?
で、掲示板の貼りかえを仰せつかりました」
何枚かのプリントをヒラヒラさせるぴーこの頭をポンポンと軽く叩いてやる。
「自分で始末つけるなんて偉いじゃん」
「大人として当たり前のことですよ」
「よく言うよ。まだまだガキのくせに」
にかっと笑ったぴーこの頭を小突きながら手を離した。
そして背の高い俺を見上げるぴーこを改めて見返し、昨日とは違う彼女のいくつかの変化に気付く。