Colorful lovers
「何だよ、やっぱりまだガキのままなんじゃん」
内心の動揺を押し隠してからかってやるとぴーこは手にしていたプリントを丸めて俺に振りかざした。
「もう、最低!!
そんなんだから先輩はモテないんだよ」
俺とぴーこの身長差はちょうど30センチ。
ぴーこが振り回すプリントは俺の鼻先をくすぐる。
「あーん? 何言ってんの?
お前だって昨日見ただろうが。俺のモテっぷり。
それにお前もくれたよな?チョコレート」
「あれは!……本命じゃないもん」
腕を下ろして唇を尖らせるぴーこは少し照れ臭そうだ。
昨日も本人の言う通り義理であるくせにモジモジと照れ臭そうに俺にチョコレートを差し出していた。
「うまかったよ、あのチョコ。サンキュー、な?」
「もう食べたの? 」
意外そうに俺を見上げるぴーこに小さく頷きながら、俺は傍らのベンチソファにドサッと腰を下ろす。
生徒たちからもらったものと一緒にならないように1つだけ鞄にしまったチョコレートは昨夜のうちに俺の胃袋に収まった。
とてもとても苦い想いと一緒に。