Colorful lovers
「そっか…。食べてくれたんだ」
俺の心中なんて気付くはずもないぴーこは嬉しそうにニヤニヤ笑って俺の前に立ったまま小首を傾げて言った。
「ねー、先輩はもらったチョコ全部自分で食べるの?」
「当たり前だろ。それが誠意っつーもんだ」
「へえ!」
真面目に感心したように目を丸くして
「お兄ちゃんもそうなのかな……」
なんて呟いている姿に思わず吹き出しながら、ちょいちょいと手招きしてやると
ぴーこは前屈みになりながら俺の前に顔を寄せた。
「ーーー本当は半分以上、実家の甥っ子と姪っ子のおやつ。
誰にも言うなよ?」
小さく耳打ちした言葉にまた目を丸くして俺を見直したぴーこは「なーんだ。でも、そーですよね」と楽しそうに笑って姿勢を戻した。
その瞬間、俺はぴーこに新たな変化を1つ見付けた。
ネイビーブルーのハイネックセーターの上でキラキラ光るネックレス。
それは、今まで1度も目にしたことのない新しいもので、シルバーのキーモチーフがぴーこの首元でこれでもかと存在を主張していた。