Colorful lovers
うわー。
うわー。
うわー。
最高にムカつくわ。 工藤シンタ。
輝く鍵の向こうに昨夜の不敵な笑みが蘇る。
一応、同じ大学の先輩である俺に向かって(シンタもY大OB) 敬いの欠片もなく鮮やかに笑ってみせたシンタ。
俺のターゲットガールの肩を当然のように抱き寄せたその行為の前に、俺の砂粒ほどの希望的観測は霧となって消えた。
わざわざ鍵なんか掛けやがって。
そんなもの掛けなくたって手を出したりしねーよ。
……俺は事無かれ主義で面倒なことは絶対ごめんだから。
人様のものに手を出すのはタブー。
まあ……、ぴーこが多忙すぎる彼氏に傷ついていて、苦しんでいるようならタブーを犯すつもりもあった、けど。
ムシャクシャしながら見上げたぴーこの顔は新品のネックレスに負けないくらいキラキラしてて。
何度か聞かされていた
『せっかく出来た社会人彼氏が忙しすぎて寂しいんです問題』
はキッチリ解決したんだな、と改めて思い知らされる。
「ちっ!」
無意識に舌打ちしてしまった俺をぴーこがびっくりしたように見下ろしていた。