Colorful lovers




その日のうちに補助員バイトにおさまったぴーこを俺はなるべく側におくようにして可愛がった。


補助員というのは、講師たちのサポート係だ。


授業前の板書、授業で使う資料作り、採点の手伝い…。
文系教科全ての講師たちがぴーこに仕事を頼む。
実は講師以上に忙しいかもしれない。


それでもぴーこ自身が現国教師志望で俺を目標にしていると公言したおかげで、俺が何か指示を出せば他の講師たちはぴーこを譲ってくれた。




ーーー何で俺の妹をスカウトするかなぁ?!



日吉にはぴーこをバイトに据えたことを散々突っ込まれたが完全無視を決めこんだ。






ぴーこと知り合って1週間もしないうちに片想い中の社会人の男がいると聞き出した。



早速、失恋の予感。



1ヶ月後には長年の想いが成就したと晴れ晴れとした顔で報告された。



あっさりと失恋確定。



むしゃくしゃして日吉に妹の恋人になったのはどんな男なんだと問い掛けてみた。


この頃には俺の恋心は日吉にバレバレだった。


ぴーこの相手が社会人ということは兄貴の友人という可能性が非常に高い。




ーーー教えてあげない。



ツレない日吉。
この時、もう少し突っ込んでおけば良かったと思う。


もしくは、この時気付くべきだった。


妹を溺愛している日吉が認めているということは、それだけ親しくて信用している男だっていうことだ。


そんなの1人しかいないじゃないか。







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