Colorful lovers



晴れて両想いになったぴーこがご機嫌だったのは1ヶ月にも満たなかった。


やはり、学生と社会人とじゃすれ違いばかりらしい。



ーーー先輩、会えない時間は愛育てると思いますか?



ーーー……お前さ、そのフレーズ知ってるとか年齢詐称だぞ?


ーーー母がいつも歌ってました。



そんな軽妙な掛け合いをしながら恋愛相談にのる日々。



俺なら同じ社会人でも寂しい思いをさせねーよ?



……1度でいいから言ってやりたかった。


そんな勇気なかったけど。




でも、密かに狙ってた。


付け入る隙を。



ぴーこと見知らぬ社会人彼氏はその距離を縮めたり離したりしているらしい。



そして、バレンタインデー直前。



ーーー先輩! バレンタインは私ソッコーで帰るからね!!



……距離は縮まったらしい。



でも、俺はまだ諦めていなかった。


メチャクチャ忙しい社会人彼氏だろ?



ドタキャンあるかもしれないじゃん。


その時は絶好のチャンスだ。



バレンタイン当日は妄想全開。
砂粒ほどの希望的観測に全てを懸けて出勤した。



隙あらば俺は動く!



そして、隙はあったかのように思われた。








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